人類の宝を鑑賞する。
2019-01-20


 土曜日は、東京国立博物館で開催されている特別展「顔真卿−王羲之を超えた名筆」を鑑賞しに上野へ。
 目当ては、この機会を逸すると、一生観ることはないだろう台北国立故宮博物館所蔵の人類の宝、顔真卿筆の「祭姪文稿」。
 入館時(正午頃)は、「祭姪文稿」の展示を観るには、約1時間待ち、自分が観終わったときには、2階の回廊を1周ぐるりと回る行列になり、多分2時間以上待ち、入館するにも外に大行列ができていた。昼食時の正午を狙って入館して正解。

 「祭姪文稿」は、伊集院静氏が「眺めているだけでこころが洗われる」と表現していたが、顔真卿の生きざまが凝縮されたような心情が迸るような筆致。
 展示にある彼の一生の解説と合わせ、信念に生きた顔真卿のすさまじさが感じられ、高校時代に簡単に世界史で習った人物をまさに再発見、血が通った瞬間だった。

 本場台湾でも滅多にない。更に言えば中華人民共和国では、今のところ観る機会が訪れそうもない作品なので、日本のお客さんより断然中国人の方が多かった感じ(行き交う言葉はみな中国語)。
 我々と違って、漢語は当然すらすら読めてしまうので、じっくりと作品を読みこんでいるせいか、鑑賞の列がなかなか前に進まない。顔真卿のほかには、懐素筆の「自叙帖」でも中国の人は、動かなくなっていた(これは草書の名筆)。

 今回の展示では、古代の篆書、晋の王羲之に始まる中国の書の系譜を顔真卿のほか、唐の三書家、張旭、懐素などの名書家の拓本、真筆を通して、分かりやすく解説しており、とても勉強になった。
 更に顔真卿らの後世中国、日本への影響などを、宋の蘇軾や最澄、空海の作品を展示しながら、解説されており、とても充実した特別展だった。
 平日にゆっくり観る機会があったら、漢文は速く読めないので、できたら解説付きでもう一回観れると良いなぁ。顔真卿のふくよかな楷書、結構好きになった。
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 日曜日は、電車を乗り継いで、久しぶりに世田谷松原のメキシコ料理店「ミカサ・ツカサ」で家族で昼食。
 ワカモレとメキシコビール、タコスにアボカド・スープまたはポソレ・スープ、20年近く付き合っているけど、ここの料理はホントに美味しい。皆満足して、昔住んでいた家の近所を散策して、帰投。
 シェフの奥さんもご主人も僕らと同じだけ年をとった。いつまでも健康で頑張ってくれたらと心から思う。

【最近の読書の覚え】
・南彰/望月衣塑子著「安倍政治 100のファクトチェック」
 現政権関係者の発言を丹念にファクトチェックした著作。野党もうやむやのままにせず、ちゃんと追求しないと。

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